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猛暑の続くある朝、ふと涼しさを感じたときが、秋の訪れです。「秋来ぬとめにはさやかに見えねども風の音にぞ驚かれぬる」古今和歌集の歌です。自然と一体になって暮していた昔の人々は「気配」や「兆し」にとても敏感でした。そのため各季節が頂点を迎えた瞬間に次の季節が生まれる、と考えていたのです。春は鶯の初音を、夏は時鳥の一声を心待ちにしていました。虫の音がちらほらと聴こえ始める立秋は秋の誕生であると同時に、夏のピークでもあります。立夏は春の、立冬は秋の、立春は冬のピークです。盛りを過ぎた季節は老いて死滅してゆき、ゆっくりと次の季節へ入れ替わっていきます。季節感とはまさに「生命観」そのものであり、つねに「生と死」「陰と陽」の繰り返しです。古の人々の「兆し」に重きを置いた季節感をほんの少し頭の隅に入れておいていただければ幸いです。暦は何かに気づくためのヒントを与えてくれますが、今がいつなのかを知っているのはあなた自身なのです。
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